■下記は参考例です。専門的なご相談はご自身の会計事務所さんへお願いします。
Q1.税法上の美術品とは?
A1. 税法上「美術品」は一般的に 古美術品・古文書・出土品・遺物等 とそれ以外の絵画、彫刻、工芸品、書画、骨とう品などを指します。
Q2. 美術品は原価償却が出来ると聞いたのですが、本当ですか?
A2. 1点あたりの所得価格が100万円未満の美術品は原則として原価償却を行いますが、100万円以上の美術品は原則として原価償却は行いません。理由としては、古美術品など古くなっても価値が下がらない物は原価償却をしない物(不変の価値がある物)とみなされる為です。
国税庁のサイトを参照
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/bijutsuhin_FAQ/index.htm
Q3. 減価償却出来る物とはどういう意味ですか?
A3. 時の経過により価値が減少する事が明らかな物として下記の全てを満たす必要が有ります。
1 時の経過によりその価値が減少することが明らかなものには、例えば、会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として個人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものが含まれる。
2 取得価額が1点100万円未満であるもの(時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものを除く。)は減価償却資産と取り扱う。
国税庁のサイトを参照
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/01/04.htm
Q4. 時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものとは何ですか?
A4. 例えば、古美術品、古文書、出土品、遺物等のように、歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないものなどは、たとえ取得価額が100万円未満でも、減価償却資産には該当しません。考え方として、減価償却は、時間経過とともに価値が下がる固定資産を対象にしています。したがって、歴史的価値の高いものは時間経過に関わらず高い価値を維持し続けるため、減価償却対象外になります。
なお、100万未満の価値の美術品の場合、一般的に、事業用として展示することで価値が下がるものがほとんどだと思いますので、使用目的(事業用)を明確にしておけば、問題ないかと思います。
濱田会計事務所のサイトを参照
https://www.mikagecpa.com/archives/5893/
Q5. 絵画や彫刻などの美術品等で減価償却資産に該当するものの法定耐用年数は何年ですか。
A5. 減価償却資産に該当する美術品等の法定耐用年数は、それぞれの美術品等の構造や材質等に応じて、耐令の別表第一に掲げる区分に従って判定することとなります。例えば、その美術品等が「器具及び備品」の室内装飾品に該当する場合には、次のとおりとなります(法令13、耐令別表第一)。
(1) 室内装飾品のうち主として金属製のもの……… 15年 例えば、金属製の彫刻
(2) 室内装飾品のうちその他のもの………………… 8年 例えば、絵画・陶磁器・彫刻(主として金属製のもの以外のもの)
国税庁のサイトを参照
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/bijutsuhin_FAQ/index.htm
Q6. 絵画を購入した場合、その絵画の額縁は美術品等の取得価額に含まれますか。このほか、美術品等の取得価額に含まれるものには、どのような費用がありますか。
A6. 一般的に、額縁はその絵画の一部として取得価額に含まれるものと考えられます。
また、購入した減価償却資産の取得価額は、当該資産の購入の代価と当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額となります。
この当該資産の購入の代価とは、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等その資産の購入のために要した費用をいい、当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額には、例えば、据付費等が該当しますので、これらの費用が美術品等の取得価額に含まれることになります(法令54)。
国税庁のサイトを参照
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/bijutsuhin_FAQ/index.htm
Q7. 少額の美術品も原価償却させないといけないのでしょうか?
A7. 減価償却を行う美術品の場合は、通常の固定資産同様、少額固定資産の規定や、一括償却資産の規定の適用ができます。
中小企業者等(資本金の額が1億円以下などの法人)については、取得価額が30万円未満の少額減価償却資産は、支出時に一括損金可能です(1事業年度あたり300万円が限度)。
国税庁のサイトを参照
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_01_02.htm
Q8. 少額美術品はどの項目から控除できますか?
A8. 実態に応じて判定しますが、室内装飾品の場合は「工具器具備品」となります。
消費税を含めて10万円以下の場合は、消耗品として控除する事も認められています。
濱田会計事務所のサイトを参照
https://www.mikagecpa.com/archives/5893/
Q9. 償却資産と非償却資産では税務上どう変わりますか?
A9. 償却資産税とは事業者が1月1日現在保有している事業用資産について課税される市区町村税です。減価償却する美術品の場合、償却資産税(固定資産税)の対象となります。非減価償却資産となる美術品については、償却資産税の申告は不要です。
濱田会計事務所のサイトを参照
https://www.mikagecpa.com/archives/5893/
Q10. 社長自身の個人利用はどうなりますか?
A10. 当然ですが、社長個人が利用するものは、減価償却対象外となります。こういった個人使用の美術品を法人で購入した場合は、役員賞与認定され、原則損金不算入となります。また、従業員や取引先贈答用の場合は、交際費、寄付金、給与認定されます。少なくとも法人利用と説明するためには、店舗、事務所のエントランスやロビー、会議室など、不特定多数のお客様等の目に触れる場所に飾っておく必要があります。逆に、社長個人宅に飾る場合や、展示せずに保有している場合は、損金にはならないケースがあります。
濱田会計事務所のサイトを参照